ところが、写真趣味などやっているとこの質問に答えるのが意外と難しいのです。画質を考えてしまい、高級コンデジ等を薦めたくなります。しかし、高級コンデジはあまりコンパクトではありません。ズーム範囲が狭く初心者には使い辛いでしょう。また、写りが良いと言っても初心者の旅行用に単焦点コンパクトを薦めても満足できないと思います。そして高級コンパクトのような趣味性の高いカメラは高価です。
要望を聞いてみると多くの場合、コンパクトであること、写真趣味ではないのでボケ重視のようなことは考えていないこと、よく写ること、操作が簡単であること、安価であること等があります。
今のカメラはトイカメラでもない限り極端に写りが悪いということはありません。写りに関してはどれでも良いということになってしまいます。そこで操作が簡単で柔軟性が高いコンパクトデジタルカメラ(以下コンデジ)を考えてみます。
まず、最初に考えるのはズーム範囲です。コンデジでスペック上大きく異なる点です。(以下35㎜判換算で画角を記載します。)
室内での記念撮影や旅先での建物の撮影を考えると広角側が重要になります。最近は多くのコンデジが28㎜スタートのズームレンズを搭載しています。28㎜あれば多くの場合十分だと言えます。一部に24㎜スタートのズームレンズあるのでこれを選択するのも良いでしょう。ただし、より広く(短く)なると画面端のひずみが多くなるので集合写真などではなるべく広角端を使わず少しズームして使うように気をつける必要があります。
次に望遠側は、普通なら100~120㎜もあれば十分なのですが、旅先でということを考えるともう少しあった方が余裕があるでしょう。望遠端については200㎜~240㎜程度を目安にしておけば良いと思います。今だとコンデジでも400㎜を超える超望遠が使えるものがあります。これも良いでしょう。ただし、超望遠の撮影は簡単ではないので300㎜を越える部分はあくまでも非常用と考えておきます。
次に撮影モードです。ほとんどのコンデジは自動モード(メーカーによって名称はまちまちですが)があります。最初のうちはこれで良いと思います。多少慣れてきたときにP/A/S/M等のモードを持っていた方が撮影の幅が広がります。M(マニュアル)モードは意外と重要です。初心者が撮りたいと思う被写体に花火や夜景があります。多くのコンデジではシーンモードがあるのですが、これに満足できないときがあります。綺麗に撮るにはどうすれば良いか聞かれるのですが、M(マニュアル)モードが無いと諦めてもらうしかありません。
手振れ補正も初心者向けと言うことでは重要でしょう。ただし、それ以前に正しい構え方を習得する必要があると思います。カメラの構え方については後述します。
カメラのスペックとしてはこんなもんでしょう。次に操作性について考えてみます。
これは個人的見解ですが、カメラの操舵では露出補正の操作がしやすいことを第一に挙げたいと思います。カメラを知っている方だと初心者にいきなり露出補正かと思われるでしょうが、デジタルカメラは撮影時点で絵が決定します。つまり、フィルム時代だとポジフィルムで撮影しているのと同じです。
ただデジタルカメラの場合、撮影直後に確認できるのでポジフィルムでの撮影ほど難しく考える必要はありません。そこで、簡単に露出補正して撮り直すことができることが重要だと考えます。
実際、カメラに詳しくない方と話していると記念写真を撮ったときに思ったより顔が暗くなるのでどうしたらいいのかと聞かれることがよくあります。シーンモードのあるカメラの場合いろいろシーンを変えて試しているのです。しかしこれでは肝心の露出は変わらないためうまくいかないのです。
その次はフラッシュの自動発光/強制発光/発光禁止の切り替えです。先に挙げた記念撮影で顔が暗くなるということにも関係するのですが、記念撮影でフラッシュの強制発光を使った方が良い場面は少なくありません。
わたしは東京スカイツリーの近くに住んでいます。多くの人が東京スカイツリーをバックに写真を撮っています。その様子を見ているとなかなかうまく撮ることができていないようです。明るい空を背景に顔を下に向けて撮るために顔が極端に暗くなります。これをうまく撮るためにはフラッシュの強制発光が必要です。
逆にフラッシュの発光を行ってはいけない場面もあります。フラッシュの発光禁止の操作ができない場合撮影そのものをあきらめなくてはなりません。
カタログを見ると「シーンモードが何種類あります。」みたいな広告をよく見かけますが、わたし自身ほとんど使いませんし、どれだけの方が使っているかわからないためこの機能への言及は避けておきます。
さてカメラについてはこのくらいにしておきます。次にカメラを買ってからどうするかについて書いてみます。
まずマニュアルを読もうとするでしょうが、カメラに慣れていないとほとんど意味がわからないと思います。全部を一度に読む必要はありません。それに一度に全部覚えるのは無理でしょう。そこで、マニュアルを見たら、まずカメラのボタンやレバーとマニュアルで使われている記号の対応を確認します。次はカメラのメニューの開き方とたどり方、そして閉じ方を確認しましょう。もうひとつ「リセット」という出荷時の設定に戻す方法を確認しておきましょう。これを確認しておくと色々な設定を試す場合に思い切って設定を試すことが出来るようになります。分けがわからなくなったら「リセット」で元にもどすことができます。そして、マニュアルの最初の方に自動モードによる撮り方が書いてあるのでそこを読んで実際に撮影してみましょう。最初のうちははこれだけで十分です。
あとは、「××の場合には」などと目次に書いてあるので気になるところを見てみましょう。それ以外の個所は必要に応じて読んで行きます。後述もしますが、実際の撮影の際には必ずマニュアルを持って行きましょう。
練習しましょう。旅行等は一度限りです。カメラの使い方も満足にわからないまま、ぶっつけ本番で臨んで失敗の多発という事態は避けたいところです。残念なことにこれが意外に多いのです。
練習は明るい室内、暗い室内、明るい野外、日陰の野外などいくつかの場面で撮影してみましょう。カメラは万能ではありません。撮影できる明るさや対象が限られます。被写体も人、花、建物などいくつか試してみましょう。撮影した画像は必ずパソコンに取り込んで確認します。細かいブレやノイズはカメラの背面液晶だけでは確認できません。そして、疑問があればマニュアルにヒントがないか探すようにします。
もう一つ練習では構え方を覚えておきましょう。「コンデジ 構え方」などで検索するといくつか出てきます。自分のカメラに合ったやりやすい方法を探しましょう。基本は両手でしっかり構えること、腕を伸ばさず肘を体に密着させること姿勢を良くして顔の前でカメラを構えること、力まずにリラックスすることです。
残念ながら街で見かける8割~9割の方は間違った構え方をしています。片手で持つ、腕を伸ばす、無理な姿勢で力んでいる等です。これではどんなに手振れ補正が優秀なカメラでもブレる確率が高くなってしまいます。
最低限慣れておいた方が良い操作について書いておきます。電源のオン/オフ、ズーム操作、モード設定は簡単に理解できるし覚えると思います。それから、上に書いた露出補正、フラッシュの設定です。実際に練習で使ってみてその効果を確認しておきましょう。
もうひとつセルフタイマーの設定も調べておきましょう。実際の撮影でみんなを待たせたまま設定にもたつくと白けてしまいます。撮影タイミングを知らせるLEDの点滅などは実際に使ってみないとわかりません。
ISO感度については最初のうちは自動で良いと思います。慣れてきてノイズとISO感度の関係が分かってきたら考えるようにすれば良いと思います。むしろ、ISO感度設定を高感度にして撮影した後で低感度に戻すことを忘れる方が危険です。ノイズは大きな画面で見ないと分からないことが多いため、わたし自身、高感度に設定したまま撮影を続けて帰ってからパソコンに取り込んで気が付くことがあります。撮り直しはできませんし、がっかりすることになります。
デジタルカメラについて調べると、ホワイトバランスについてもいろいろ書いてありますが、最初は自動(オートホワイトバランス)で良いでしょう。
実際に撮影に出掛ける時に重要なことがあります。それは必ずマニュアルを持って行きましょう。撮影してうまくいかない時にその場でマニュアルを開いてヒントを探しましょう。団体行動の場合、その場でマニュアルを確認している余裕は無いでしょうが、乗り物での移動中や宿で確認できるだけでも違ってきます。もちろん上記の練習の際にも持って行き、その場でいろいろな設定を試しましょう。
写真好きの人に聞くと順光がどうの逆光がどうの構図がなどといきなり語り始めますが、これはもう少し後で良いです。カメラは道具です。まずは使い方に慣れましょう。
最後に三脚について、三脚があると夜景や記念撮影などで撮影の幅が広がります。できれば持って行きたいところですが、かさばるし重いし面倒です。そこで500円程度で買うことのできるミニ三脚があります。2秒セルフタイマーを使うことで夜景なども綺麗に撮影できるようになります。
ミニ三脚
それで結局おススメのカメラは何なんだということになると思うのですが、正直言って難しいです。どうしても機種を指定しろと言われるとき、今はPanasonic DMC-TZ40と答えています。ズームレンズは24㎜~480㎜と十分で、P/A/S/Mのモードも持っています。ひとつだけ言わせてもらうとシャッタースピードの最長が4秒と言うのが残念です。理想は60秒、せめて15秒は欲しいところです。
なぜPanasonicかというとわたし自身がPanasonicのFZシリーズを使っている印象からPanasonicのコントラストAFの精度と速度が信頼できることが挙げられます。高倍率ズーム機を使って鳥を撮っている知り合いが何人かいるのですが、ほとんどがNikonやCanonやFujiのカメラを経てPanasonicのFZシリーズにたどり着いています。Panasonicが家電メーカと言うことで最初の選択肢に挙がらないのですが、他の人が使っているのを見たりしているうちにPanasonicのFZにたどり着いているようです。
※久しぶりの更新がほとんど写真のない投稿となってしまいました。ここしばらくは、ちょっと入院していたり静止画だけでなく動画を作ってみたりとかしていました。
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